幼児期・低学年期のそろばんについて考察する

以下の記事は、ピグマリオンの公式見解ではなく、あくまでも個人的な見解ということで読んでいただければ幸いです。

そもそも、こちらの記事はピグマリオン学院 麻布十番教室の講師が書いていますので、全ての記事には個人的な見解が入っております。

さて、「そろばん」について、体験会を通じて何名ものお母さまから質問をいただきましたので、記事にさせていただきます。

私は、小学校の低学年の時期にそろばんを経験をし、そろばん団体の読み上げ暗算の大会で優勝した経験もあります。

そろばんをしている人の中でも計算が速い方だったので、くもんなどをやっている友達と比べても圧倒的に計算は速かったです。

では、その上で、

「幼少期・低学年期にそろばんをした方が良いか?」

と聞かれると、

「その時間をピグマリオンに使った方が良い可能性が高い」

と思っております。

理由は、後で述べるとして、まずは個人的に感じるそろばんのメリットをいくつか述べます。

・計算(足し算・引き算・掛け算・割り算)が速くなる
・人によってはフラッシュ暗算のような飛び道具的な特殊能力が鍛えられる
・ピアノのように指先の能力が高まる
・考えるより、指を動かすという機会が増え、一瞬の判断能力に良い影響を与える可能性が高い
・集中力が高まる
・速く正確に解くことに対する試行錯誤を自ら行う
・習いごととしてリーズナブルなケースが多い

一方で、デメリットだと思うことも書きます。

・習熟までに時間がかかる(最低1日30分の練習は必要)
・分野は四則演算のみで、受験に活きる範囲が狭い
・大人になってからそろばんをする機会は少なく、楽器演奏や絵画などのアート系に比べて異文化交流や趣味としては活かせない
・図形感が養われる範囲が狭い

まだまだあると思いますが、サッと思いつくのは以上になります。

もちろん、そろばんを習うことによるメリットは、あると思います。

ただ、お子さまの時間は有限。それをどう考えるのか?ということが大切です。

「そろばん」を質問される多くのお母さま方は、「中学受験」を意識される方が多いです。

中学受験やそれ以降の大学受験にメリットがあると思い「そろばんを習わせたい」と考えられている方が多いようですが、ここではっきり書かせていただきます。

そろばんの受験に対するメリットは、極めて限定的です

受験の場合、中学受験であれ、高校受験であれ、大学受験であれ、さまざまな取り組みが必要です。

水泳競技でいえば、個人メドレーのようなもの。単一泳法の競技ではありません。

一人で、クロール・背泳ぎ・平泳ぎ・バタフライをしなければいけないような状態です。

そろばんは、その中で、ひたすら「飛び込み」の練習を、毎日30分ひたすらしてているようなものです。

そう。スタート時の瞬発力は高まるかもしれませんが、それぞれの競技の手の動かし方やキックの仕方は練習しません。

ところで、そろばん1級の試験の内容を見たことはありますでしょうか?

桁数はもちろん凄いですが、このような問題が難関中高や難関大で出題されるでしょうか?

いえ、出題されませんし、ここまでの暗算力は必要とされていません。

もちろん、暗算力があったことに越したことはありませんが、では計算力のためだけに、そろばんを練習することが、本当に良いことなのでしょうか?

私は、1日30分、年間300日の9000分(150時間)を、そろばんに費すのであれば、それと同じ時間をピグマリオンに取り組む時間に充てた方が、お子さまの思考力を深め、受験にも良い影響を与える可能性が高いと考えています。

もちろん、ピグマリオンとそろばんを両立、というのを考えていただいても良いのですが、そうであれば運動(体操やスイミングなど)やアート(楽器演奏・ダンス・絵画など)の習いごとを充実された方が、お子さまの将来の体力向上や健康、異文化交流や生涯の趣味、または競技として真剣に取り組むこともできるのではないでしょうか。

そろばんとピグマリオンの暗算には共通点があります。

どちらも、筆算に頼らずに、上の位から足し引きをしたり、掛けたりできるようになります。

ということは、ピグマリオンの暗算のやり方で、受験に必要なレベルの暗算力はついてしまうのです。

そろばんの上級者の暗算力は、受験にとってはオーバースペック、つまり時間対効果が低いことになります。

体験にお越しいただいたお母さまの中にも、そろばん塾の先生をされているお母さまがいて、ここまで直接的ではありませんでしたが、個人的な見解をお話をさせていただきました。

そうすると。

「そうですよね。そろばんが理系脳を育てるわけではないことは、私自身が一番わかっています。」

とお話をされていました。

「理系に育てたいか?」ということはさておき(「理系」という言葉自体がナンセンスのため)、そろばんと思考力の関係性はゼロではないですが、作業的な要素が強く、少し遠回りなイメージがあります。

もし、そろばんが数学力と直接的な関係が深いのであれば、日本人の数学オリンピック世界大会の上位入賞者がもっと多くて良いはず。

しかし、そういうわけではない。

そろばんは、あくまでも計算専用のツールだからで、数学力・思考力とはかなり遠い関係にあるからです。

私自身は、そろばん大会で優勝や入賞をした経験があり、もちろんその経験で自己肯定感が高まったこともあるかと思います。

しかし、それは算数オリンピックやスポーツ競技での受賞などと、それほど変わらないものだと思います。

もし、私が子どもの頃に戻って、当時ピグマリオンという存在を知っていたのであれば、ピグマリオンに取り組みたかったと心から思います。

そして、金銭的に願いが叶うならば、家庭学習ではなく通室をしたいです。だからこそ、現在こちらのお仕事をさせていただいておりますし、そろばん塾に携わっていない理由にもなります。

なお、「そろばんが好きでたまらない」というお子さまに関しては、習いごと以上の価値があると思いますので、それであれば「ぜひ、続けてください」とお話をさせていただくと思います。

ピグマリオン学院 麻布十番教室